アジア6カ国の卒業式の習慣は?【各国ライフスタイルシリーズ 学校行事編】
アジア地域No.1規模の“日本好き”コミュニティサイト『FUN! JAPAN』を運営する株式会社Fun Japan Communications(本社:東京都港区、代表取締役社長:藤井 大輔、以下Fun Japan Communications)が、アジア各国の人生の節目やライフスタイルを独自リサーチし発表する「各国ライフスタイルシリーズ」。
今回は、台湾・香港・タイ・マレーシア・ベトナム・インドネシアの幼稚園や学校で行われる卒園式や卒業式について掘り下げていきます。各国の風習や日本との違いを理解することで、各国ユーザーの消費行動を理解し、貴社のプロモーションに活かしてみてはいかがでしょうか。
PICK UP
・卒業ガウンを着用し、人気観光地での記念撮影が流行中の台湾
・香港では卒業生が角帽を空に投げるフォトポーズが定番!ホテルでのリッチな慰労会も
・卒業シーズンは一年中!?王室関係者が表彰状を手渡すタイの大学卒業式
・マレーシアでは大学制度もグローバル!在学中に留学し海外で卒業する人多数
・歌やダンスなどお楽しみ要素満点のベトナムの卒業式!式後の写真撮影もにぎやかに
・コーランの朗読や卒業生による歌唱など、厳かで伝統を重んじるインドネシアの卒業式
今回取り上げるのは、各国ユーザーが卒園式や卒業式に関してです。
「ハレ」と「ケ」という考え方のある日本では、進学や卒業は人生の節目「ハレ(晴れ)の日」としてとらえられ、卒業式は入学式と同様、非常に重要視されます。
では、FUN! JAPAN対象国では、卒業をどのようにとらえているのでしょうか?また、いったいどのようなイベントが行われているのでしょうか?ここからは、対象国6カ国の卒業にまつわる儀式や服装について見ていきましょう。
【調査概要】
調査主体:Fun Japan Communications
調査期間:2020年8月~2020年9月
調査対象者:10人、男女 等
調査方法:インタビュー定性調査
卒業ガウンを着用し、人気観光地での記念撮影が流行中の台湾
台湾の卒業式シーズンは例年6月。幼稚園や保育園から小中高校、大学までこの時期に卒業式を行います。
幼稚園や保育園は基本的に決まった形式などはなく、儀式の内容に関しては各学校にゆだねられています。小学校では、当日の朝のホームルームが終わってから生徒は体育館などに集合し、日本と同じような儀式が行われます。卒業式には、両親や祖父母なども参列し、校長の挨拶、卒業生の紹介、卒業生代表のご挨拶(スピーチ)。その他、下級生からの送別や出し物・卒業証書の授与などが行われ、式後にはクラスごとに教室へ移動し、先生のお話や、クラスメイトとの歓談が行われ解散となります。
服装に関しては、幼稚園や小学校では一般的な外出着での参加が多いです。日本の卒業式のように、両親も参加し写真撮影もするので、普段より良い服装を用意する場合は多いですが、比較的カジュアルな洋服が多いです。学校が卒業祝いを生徒に贈るのも一般的で、記念品は各学校手配なので商品はバラバラですが、文房具、キーホルダー、ボトル、エコバッグなど実用的な商品をプレゼントするのが定番です。各クラスで「○○賞」などに選出された児童に、辞書や電子辞書、音楽プレーヤー、金券(図書券や商品券など)が贈られることもあります。
また、自主性を重んじ、共通の年中行事がほとんどない台湾の大学でも卒業式は実施されます。
卒業生の服装は、主に学校が用意した卒業ガウン。黒いローブですが、学部や専攻によって袖や衿の色が違います。学生は、卒業式1ヶ月前に学生課からこの卒業ガウンを借りて、時間帯を決めて学科ごとに卒業アルバムの集合写真を撮影し、仲の良いクラスメイトとの写真撮影を楽しみ、当日も同じガウンを着ます。最近では、卒業前に観光地で卒業ガウンを着用して記念撮影をするのも流行っています。
大学卒業後は、学校の寮から引越しをする学生も多いため、卒業式の時期に両親が物件探しの手伝いをしたり、家具や家電の購入をしたりすることも。その他、新生活に向けた生活雑貨などの商品購入が増えるのもこの時期です。
また、台湾では男性に兵役があります。現在は短くなって、およそ4ヶ月の軍事訓練生活。基本的には大学卒業後、軍事訓練の所属場所などが抽選で決定、連絡されます。
香港では卒業生が角帽を空に投げるポーズが定番!高級ホテルでのリッチな慰労会も
香港の卒業式シーズンは、幼稚園や小学校は6月から夏休み期間の7月、大学は11月~12月です。
台湾と同様、儀式に決まった形式はないですが、幼稚園や保育園では卒業生がダンスや歌などパフォーマンスを行うほか、幼稚園や保育園でも卒業ガウンを着用して、卒業証書の授与などもしっかり行われます。記念写真の撮影に関しては、学校がプロのカメラマンを雇うケースも多いため、一緒に参列する両親もおしゃれに気を付ける人は多いです。
11月末~12月上旬に開催される大学の卒業式は、学長の挨拶と卒業証書の授与がメインとなり、式の前後には、キャンパス内で同級生や家族と記念写真を撮る人が多いです。
服装は男女とも卒業ガウンが基本。黒いローブで学部、専攻によって袖や衿の色が違います。ガウンの下には夏仕様のスーツを着用するのが普通ですが、ガウンを被ると見えないので、カジュアルなインナーを着る人も少なくありません。卒業ガウンは買うこともできますが、卒業式と記念写真以外は着ないので、学校の指定の業者からレンタルするのが普通です。海外ドラマなどでもおなじみですが、卒業式後に卒業生が角帽を空に投げるのが定番の写真ポーズになっています。卒業のお祝いは、花のブーケと卒業ガウンを着るぬいぐるみが多いようです。
その他、香港ならではの卒業イベントでは、中学校や高校の謝師宴(感恩会)があります。香港は小学校から高校卒業までが義務教育で、中学校と高校は中高一貫校がほとんどです。そのため、高校を卒業した子供たちが、夏休み期間を利用し、学校の先生方に感謝の気持ちを伝える慰労パーティーを開催することが多いです。このイベントは、卒業生たちが高級ホテルのレストランやブッフェなどを予約し、先生方へごちそうするというもの。高級ホテルで行うことが多いため、基本的に女子はフォーマルなドレス、男子はスーツで参加し、学生から先生にカードやプレゼントなども贈ります。
卒業シーズンは一年中!王室関係者が表彰状を手渡すタイの大学卒業式
タイの卒業シーズンは保育園、幼稚園は2月下旬~3月上旬で、小学校から高校までは3月中に開催されることが一般的です。卒業式の方法に決まった形式はありませんが、先生の挨拶や卒業証書の授与、記念写真撮影などを行うのは一般的です。幼稚園児も義務教育期間中の子どもたちも、基本的には通学時の学校の制服か、卒業式用にあつらえられた制服を着用し、儀式に参加します。
大学の卒業式に関しては、他とは時期や服装がまったく異なっています。タイの大学では、卒業式の卒業証書の授与を、国王の親族や王室の関係者が一人ひとりに手渡すため、大学ごとに卒業式の日取りが大きく異なります。そのため、特定の卒業月はなく、1年中卒業シーズンとなります。
また、服装に関しては、制服の上に、「チュットクルイ」と呼ばれる、卒業式専用の衣装を羽織るのが、正装です。このチュットクルイは、大学ごとに色が異なるため、色をみれば、どの大学の卒業生かわかるようになっています。
卒業の際のギフトに関しては、小学校からの義務教育期間中は、実際に学校で使用するカバンや文具、本などが人気ですが、大学の卒業祝いは花やぬいぐるみ、その他ハートがふんだんに使われたファンシーなものが多いそうです。
マレーシアでは大学制度もグローバル!在学中に留学し海外で卒業する人多数
マレーシアの学校の卒業式は、幼稚園から義務教育期間中は12月などの年末に開催されることがほとんど。大学は9月~10月が多いようです。
儀式に細かい決まりなどはありませんが、一般的に校長や先生方の挨拶、卒業証書の授与、記念写真撮影などは行われます。クラスの集合写真などは、卒業式前に前撮りすることが多いようです。服装も、学校の制服がほとんどですが、大学の卒業式では卒業式用の衣装があり、多くの学生がレンタルして当日の式に臨むようです。
また、マレーシアの大学は制度もグローバル。多くの大学が、イギリスやオーストラリア、アメリカ、カナダなど海外の大学と提携しており、大学留学への架け橋となっています。そのため、入学時にマレーシアの大学に入学しても、そのまま海外の大学を卒業し、マレーシアの大学の卒業式を体験しない学生も多いそう。
歌やダンスなどお楽しみ要素満点のベトナムの卒業式!式後の写真撮影もにぎやかに
一般的に5月~6月が卒業式シーズンのベトナム。大学で特定のコースや専攻を選んだ学生以外は、幼稚園から大学までこの時期に学校を卒業する人がほとんどです。
ベトナムでは、入学式や卒業式などのイベントを、日本ほど人生の節目ととらえておらず、こうした儀式に参加しない親も多いようです。また、日本の卒業式といえば、別れを惜しんで涙する光景などがおなじみですが、ベトナムでは別れ際がさっぱりしています。それは、多くの卒業生がハノイやホーチミンといった大都市で引き続き仕事をするケースが多く、会いたければいつでも会える、という考え方があるからです。
そのため、卒業式も、卒業証書授与や成績優秀者の発表、来賓者のスピーチなどが日本と同じように実施されますが、ステージ上で在校生による演劇や歌の披露があるなど、厳粛な儀式の中でも、卒業生を楽しませる時間が設けられています。卒業式が終わった後は、教室へ集まり卒業にあたっての説明などが行われ解散となります。
そして、ベトナムの子どもたちの一番の楽しみは、卒業式後に行う、友達やクラスメイトとの記念撮影。晴れの舞台ということで、卒業写真のためにカメラマンを雇うことも。両親がお金を出すケースもあれば、高校生などは友達同士でお金を出し合うケースもあります。プロのカメラマンに、式の様子や、友達、先生との写真やビデオを撮ってもらいます。特に、高校の卒業式ではクラスメイト全員で学校のグラウンドに集まって、丸い円に並んだり、人文字を作ったりして、学校の友達とのひと時を楽しみます。
儀式に参加する際の服装に関しては、幼稚園児は基本的にアカデミックドレスが定番。色は青、赤、黒がありますが、青を指名する学校が多いです。小・中学校では、男女とも白いシャツに濃いブルーのズボン(女の子はスカート)の制服が定番。高校になると、女子は白いアオザイを着て記念写真を撮るのが一般的です。
大学の卒業式でも、かつては白いアオザイを着て記念写真を撮る人が多かったですが、最近は、欧米でよく見られるアカデミックドレスに角帽のスタイルを選ぶ人も増えてきています。
両親の服装に関して、決まりは特にありませんが、ベトナムでは自分の子どもが大学を卒業することはとても名誉なことなので、父親はスーツ、母はおしゃれなワンピースなど、おしゃれをして式に参加し、学校の入り口などで子供と卒業写真を撮影するします。
卒業祝いのギフトでは、小・中学校の卒業時に、ペンやノートなどの文具を学校が子供たちにギフトで贈るのが定番、大学卒業時には花束などを贈ることが多いです。
コーランの朗読や卒業生による歌唱など、厳かで伝統を重んじるインドネシアの卒業式
インドネシアの卒業シーズンは、幼稚園・保育園から高校までは6月。大学は8月下旬〜9月中旬に卒業式を開催するのが一般的です。
幼稚園や小中高校の卒園式・卒業式では、開会式のお祈りで式が始まり、日本と同様に校長や先生の挨拶、卒業証書の授与などが行われます。日本との違いとしては、ベトナム同様、卒業生がステージで歌やダンス、詩の朗読などを披露すること。卒業生の様々なパフォーマンスの後は、閉会の祈りと集合写真の撮影などを行い、卒業式は終了です。
大学の卒業式は少し他とは異なり、司会がオープニングを務めた後、国歌斉唱やコーランの朗読などが行われた後、卒業証書の授与が行われます。また、学生合唱団の歌唱や校歌の斉唱、卒業生代表によるスピーチ、閉会式の挨拶などが行われ式は終了となります。服装に関しては、高校までは学校の制服などを着用することが多いのですが、大学の卒業式では女性はクバヤと呼ばれる民族服の上に卒業式用の服を着用します。また、男性はバティックシャツとズボンを着て、その上に卒業用の服を着るのが一般的です。
また、高校卒業までは、学校や家族が子供にお祝いのギフトを贈る習慣はなく、成績優秀な学生に賞が贈られる程度。逆に、卒業生が、学校の先生にお礼のギフトを渡すことがあります。大学卒業の時には、卒業生に花束などが贈られます。
いかがでしたか?学校行事やイベントは国によって様々です。インバウンドでは、各国の日本とは異なるライフスタイルや、ライフイベントを理解し、対象国に合わせたプロモーションを展開していくことが大切です。「各国ライフスタイルシリーズ」では、各国の新生児の誕生や冠婚葬祭、学校行事、人生の様々な節目のお祝い事、その他国によって異なる風習などをリサーチし発表していきます。記事を読んで、各国ユーザーの衣食住にまつわる様々な購入物や冠婚葬祭での消費動向などを学び、効果的に海外での商品展開やPR活動を実施していきましょう。
[Fun Japan Communicationsについて]
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