タイ人インバウンドの特徴|FUN! JAPANアジア訪日外国人観光客データ
訪日タイ人旅行者の誘致やプロモーションを行うために肝心なのは、タイ人の特徴を知ることです。
そこで今回は、訪日タイ人旅行者の行き先や旅の傾向から、タイ人の性格や食生活といった基本情報まで紹介。インバウンド・アウトバウンド施策を検討中の方は、ぜひご参考ください。
訪日タイ人旅行者(タイ人インバウンド)の基本情報
タイからの訪日者数
131万9000人(2019年年間)。2018年に初めて100万人を突破し、右肩上がりに上昇しています。
訪日タイ人旅行者の消費額
2019年は約1,732億円。約1,404億だった2018年と比べて、1年で300億以上も増加しています。また、消費額が576憶円程度だった2013年から、数年で3倍以上も数値が伸びていることがわかります。
訪日タイ人旅行者の都道府県別訪問率
1位:東京都(48.6%)
2位:千葉県(48.1%)
3位:大阪府(28.8%)
4位:京都府(18.5%)
5位:北海道(16.5%)
出典:観光庁『訪日外国人消費動向調査(2019年版)』
最近の訪日タイ人旅行者の傾向として、首都である東京近郊を訪れる人が半数を超えています。東京は、東京国際空港があるため旅の中継地点として利用者が高く、ショッピング目的の人も少なくありません。初訪日の人は浅草や上野などの東京巡りをするようです。また、千葉県は東京ディズニーランドと東京ディズニーシーが目的と考えられます。
一方、関西地方も人気があり、大阪と京都へセットでまわる人が増えています。大阪はグルメやショッピング、京都は金閣寺や清水寺など写真に収めたくなるような定番のお寺巡りは人気です。タイは熱心な仏教徒が多いですが、寺や神社は観光地として巡りたいと思う人が多いです。出雲神社、伊勢神宮など、「縁結び」の御利益がある神社は、運気アップを期待して巡ります。
5位の北海道では、雪景色、ラベンダー畑、海鮮料理の人気が高いようです。特に、さっぽろ雪まつりの「国際雪像コンクール」のタイチームは何度も優勝したことがあり、タイ国内でもニュースになっているため、一度は行ってみたいと思う人が多くいます。また、2016年に公開されヒットした恋愛映画『一日だけの恋人』の影響により、ロケ地の地獄谷も観光地として話題になっています。
タイ人の訪日回数(観光目的)
出典:観光庁『訪日外国人消費動向調査(2019年版)』
タイ人観光客はリピーターが全体の60%以上を占めています。さらに、観光目的で4回以上来日している人は30%超え。熱心な日本好きが平均より多いことが分かります。
訪日タイ人の旅行形態(観光目的)
出典:観光庁『訪日外国人消費動向調査(2019年版)』
タイ人観光客の3/4は個人旅行で、自分のペースでの旅行が好まれると考えられます。一方、団体旅行も22.4%と他国に比べて数値が高くなっています。
訪日タイ人の滞在日数(観光目的)
出典:観光庁『訪日外国人消費動向調査(2019年版)』
7日間以上の滞在が35%以上と、一週間程度の旅行を好む傾向にあります。日本とタイは時差2時間、直行便の時間は約7時間。さらに、15日間以内ならビザ不要ということもあり、一度の訪日でさまざまな場所へ巡りたいと思う人が多いです。
月・年別 訪日タイ人数の推移
出典:日本政府観光局(JNTO)
最も多く訪れるシーズンは、学校の夏休みとタイの旧正月にあたるソンクランがあります。桜が見ごろを迎える4月の訪日が最も多く、過ごしやすい気候の5月も10万人を超えるタイ人が日本を訪れています。タイで暑さが厳しくなる3月~10月にかけて夏バテする人が多いため、旅行地として3月~5月は涼しいところが選ばれます。紅葉シーズンに入る10月は、タイでは日本の夏休みにあたる「秋休み」が始まります。また、10月13日は2016年に崩御したラーマ9世記念日、10月23日はチュラロンコン大王記念日があり、休日を利用して来日する人も多いです。12月は、5日がラーマ9世誕生日、10日が憲法記念日であることを利用して、その期間を連休にする人が多いことと、年末年始休暇があることのため、10万人以上が訪日しています。
(参考)タイの祝日はこちら
訪日タイ人観光客の特徴
日本に旅行するタイ人の傾向
15日以内ならビザが不要で、気軽に訪日する人が多いため、一週間前後の滞在で定番観光スポット巡りした後、日本国内の日帰り旅行をする人が増えています。また、雪や温泉、日本の伝統的な景色など、タイで見られない風景はSNS映えを期待して訪れる人も珍しくありません。
また、日差しが強く年間を通して気温が高いタイでは、街中を歩くことは少なく、幼いころから歩く習慣がありません。そのため、日本での観光でも、歩くことを避けたバスや電車のツアーが定番。GALA湯沢へのスキー旅行が、近年のトレンドになっています。
タイ人は日本食が好きで、多くの日系レストランチェーンが現地で展開されています。そのため、日本旅行中も、タイ人に馴染みのある、定番の日本食の店が人気です。
回転寿司の「美登利寿司」、しゃぶしゃぶ食べ放題の「モーモーパラダイス」、とんこつラーメンの「一蘭」、手羽先と名古屋料理の「世界の山ちゃん」はその代表。和牛、黒豚などの高級肉はタイでも大変人気が高く、日本ではファストフードのイメージが強い「吉野家」はタイでは高級店のため、本場の牛丼を食べるために訪れる人も後を絶ちません。
タイ人に人気のお土産
台湾人を代表するコアリピーター旅行者に好まれるトレンド商品より、現在はまだ、定番または地域限定のお菓子が、タイ人には人気です。北海道の「ロイズチョコレート」「じゃがポックル」、「キットカット」、「東京ばなな」、「ポッキー」など。また、カルビーのポテトチップスはタイでも販売されていますが、スティックタイプの「じゃがりこ」は一般的に売られていないので珍しいこともあり、お土産にする人が多いです。そのほか、抹茶、さくら味、ワサビ味など日本らしい風味のお菓子も定番です。
化粧品は資生堂のSK-IIが圧倒的に人気。そのほかKOSEの雪肌精など、美白効果が期待される化粧品の人気は、美肌願望の強いタイならでは。また、CANMAKE、Kateなどプチプラ化粧品も人気です。資生堂の洗顔料「Perfect Whip」などは、安くて使いやすいボリュームなのに資生堂商品ということで、若い女性のお土産の定番となっています。
ドラッグストアの商品も人気があります。特に、化粧品、薬、サプリメントなど、友達や家族へのお土産として買っています。美肌クリーム、ビタミンC、コラーゲンなどはトレンドになっています。
訪日タイ人観光客の情報収集スタイル
Pantipのウェブ掲示板は一番人気の情報サイトです。また、有名人・芸能人ブログの信頼性が高く、人気ブロガーの日本旅行記を参考にしている人が多いです。他には、日本好きのタイ人が運営するウェブメディアからも情報収集しています。
訪日タイ人観光客の宿泊スタイル
タイ人観光客が宿泊で最も優先すべき点は「移動の便利さ」。例えば東京なら、成田国際空港へ移動しやすい上野、ショッピングが希望なら渋谷や新宿が人気。また、コンビニエンスストアが近くにあることも気にします。宿泊を通して日本文化を体験したい願望もあり、旅館の浴衣で和室に泊まることも人気がありますが、高齢者は高級ホテルで広い部屋を予約する傾向にあります。また、大人数の旅行の場合は、一室で数名が泊まれる部屋を選ぶ人が多いです。旅館の温泉へ入りたいと思っても、人前で裸になることに抵抗があるため、露天風呂付客室が好まれます。SNSの利用が日常的なため、シェアしたくなる景観、客室内のフリーWi-Fiも部屋選びの重要なポイントです。
タイで人気の日本の有名人
タイでは、日本映画が映画館で上映されることは少ないですが、インターネット動画サービスを観て日本の俳優やアイドルについて情報を得ています。
ジャニーズタレントは人気が高く、なかでも知名度があるのは、NEWSの山下智久さん。タイでソロ公演も行った経験があり、「山ピー」という愛称で誰もが分かる存在です。また、彼が出演したドラマ『野ブタをプロデュース。』はタイでブームとなり、2018年には主演ドラマ『5時から9時まで』がタイのテレビで放送され、原作マンガもヒットしました。
ほかにも、タイで公開された映画『るろうに剣心』『バクマン。』『世界から猫が消えたなら』の主演である佐藤健さんも知名度が高いです。坂口健太郎さんは、タイの日本人男性紹介Facebookページ「Nippon Boy」で紹介されたことで人気に火がつき、主演映画『今夜、ロマンス劇場で』も話題になりました。
30代以上の男女から支持されているのは、俳優の阿部寛さん。タイのアクション映画『チョコレート・ファイター』にて、重要な役柄で出演していたこともあり、「日本の俳優といえば彼」というイメージが定着しています。
女性の場合は、女優の深田恭子さん、歌手の西野カナさん、モデルの水原希子さん、アイドルのモーニング娘。やAKB48がよく知られています。特にAKB48は、バンコクの姉妹グループで、今や国民的アイドルとなっている「BNK48」から知った人も少なくありません。
バンドも人気があり、X-Japan、SMAP、嵐、NEWS、Perfume、E-girlsなど。Youtuberなら、大食いの木下ゆうかさんも人気です。日本同様にスマートフォンでYouTubeを見る習慣が根付いているため、Youtuberの知名度も高くなっています。
タイで人気の化粧品ブランド
資生堂、雪肌精(コーセー)など、日本の大手ブランドのスキンケアは人気が高い傾向にあります。また、キャンメイク、カネボウのKATE、資生堂のマキアージュなどの化粧品ブランドも知名度が高いです。
タイで人気の日本の調味料
以前に実施したアンケートでは、ワサビ、醤油、味噌の順で好きな人が多い結果になりました。また、日本のメーカーで味の素も人気があります。
タイ人が日本の商品を買うときによく利用するECサイト
タイでは日本の商品をECで買った経験のある人は20%強の結果。日本の商品を購入する際、Lazada、楽天、amazonなどがよく利用されています。
タイの基本情報
名称
タイ(Kingdom of Thailand、ราชอาณาจักรไทย/タイ王国、râːt.tɕʰā ʔāːnāːtɕàk tʰāj)
主要都市
バンコク,チェンマイ,プーケット
面積
51万4,000平方キロメートル(日本の約1.4倍)
人口
6,891万人(2017年 国勢調査)
言語
タイ語
通貨
タイバーツ 1米ドル=32.44タイバーツ(2020年4月現在)
一人当たりの名目GDP
7,187米ドル(2018年:IMF)
日本との時差
-2時間
出典:外務省「タイ基礎データ」
タイ人の特徴
タイ人の国民性・性格・特徴
老若男女、笑顔が多い。どんなことも気にしない!
微笑みの国として知られていますが、どんな状態でもとりあえず笑顔で対応するのが普通です。幸せな瞬間はもちろん、どうしようもないときにも笑顔。これは、「マイペンライ」(大丈夫、ドンマイという意味の言葉)の精神が染みついており、笑顔で前向きな人がほとんどです。以前、洪水の中でのんびりビールを飲んでいる写真がニュースになった通り、何があっても動じない国民性です。ただ、相手も気にしないだろうという考えも多いため、約束の時間を守らない人はかなり多くいます。
思いやりの気持ちがとても強い
幼いころから仏教の教えを従順に守ってきた人が多く、お人好しで思いやりの気持ちを持っています。困っている人を見捨てず、懇切丁寧にサポートしてあげることは珍しくありません。ただし、騙されるケースも多いため、最近では知らない人には自分から手を伸ばさないように注意される教育に変化しています。反対に、助けてくれた人への感謝の気持ちは大きく、小さなことでも「命の恩人」と思うこともあります。
家族を大切にする
タイ人は親孝行が何よりも大切。結婚する前は実家で両親と暮らすことが一般的です。結婚後も、自分の家族だけでなく、実家の家族とも付き合いが深いため、家族旅行として訪日する人も多いです。30代以上の働き盛りでも、自分の親と旅行することは珍しくありません。
食事スタイル
おかずをたくさん注文する
グループでご飯を食べに行く場合、単品の料理よりも、おかずをいろいろ注文してシェアすることが一般的です。ひとつの味では飽きてしまい、色々な味を食べたいと思う人が多いからです。
家庭料理はタイ料理以外も多い
タイでは家庭でご飯を作る人が多いですが、タイ料理に限りません。中華系が国民の半数以上のため、家庭でご飯を作るとき、タイ料理ではなく中華料理を作る家も珍しくありません。また、サンドイッチやスパゲティなども家庭料理として浸透しています。
酒を飲むことは人による
日本のように日常的に誰もがお酒を飲むという習慣はありません。家族との食事なら父一人でビールを注文することは珍しくなく、友人との食事でも飲まないことが普通です。食事会と飲み会は別物と考えている人がほとんどです。
タイのグルメトレンド
タイは暑いため、夏バテや熱中症を防止する目的で、冷たく甘いドリンクやデザートが好まれています。ミルクティーは昔から飲まれていますが、最近は台湾のタピオカミルクティーが爆発的なブームとなっており、「KOI Thé」「Coco Fresh Tea & Juice」が人気店です。また、アイスクリームも年齢を問わず好まれ、定番ブランドは「ウォールズ・アイスクリーム」です。
タイ人の習慣・注意すべきマナー
社交の習慣・マナー
タイは熱心な仏教徒が多いため、気軽なスキンシップはNGです。人の頭を触ることは、大変失礼な行為です。また、話し合うとき、向き合って目を見ないことも失礼な人と見なされます。建前や社交辞令などの日本の文化は慣れないため、「今度遊びましょう」などの口だけのお誘いはしない方が懸命です。人に指をさすことは日本と同じく失礼な行為のため、手のひらを上にしてさすことが普通です。
食事の習慣・マナー
日本とは違い、ラーメンを食べるときは麺をすすって音を立てません。食べ物を嚙みながら口も開けず、音も立てないようにします。嚙みながら話をしなければならないときには、手で口を隠しながらしゃべります。シェアするおかずを取るとき、自分のスプーンで取らず、取る専用のスプーンを使います。専用スプーンがない場合、気にする人がいれば新しいスプーンをもらうのがスマートです。
タイで人気のSNS
FacebookとLINEが圧倒的に人気。アジアの他国で人気のWhatsAppsはあまり使われていません。Instagramも利用者が多く、芸能人の最新情報をここから得ています。しかし、Facebookの投稿頻度はあまり高くなく、シェアをするのも必要なとき以外はせず、情報を得たり友達の投稿を見たりすることがメインのようです。
タイで人気のあるキャラクター
「ドラえもん」は昔から毎週土曜日に放送されていて、漫画も販売されているため、年齢問わず知られているキャラクターです。最近の漫画は男性向けタッチが多いため、男女ともに愛されているのは漫画のキャラクターでなく、可愛い系のリラックマやハローキティなどです。
タイ人の希望就職先および留学先
起業家を目指す人が50%以上で最も多く、レストランビジネスを希望する人も多いです。日本好きな人は、日本への留学を60%以上が希望している結果が出ています。
タイで人気の有名人
女優・モデルのパチャラパー・チャイチュア、俳優のJesdaporn Pholdee、俳優のTheeradej Wongpuapan、女優・モデルのYaya Urasaya、俳優のMario Maurer、女優のダビカ・ホーン、歌手・タレント・俳優のトンチャイ・メーキンタイ、俳優・モデルのナデート・クギミヤ
タイで人気のブロガー&インフルエンサー
【アイドル】BamBam GOT7
【アイドル】Lisa BLACKPINK
【ビューティー系インフルエンサー】Pearypie
【ビューティー系インフルエンサー】Naphatsorn Buranasiri
【トラベル系インフルエンサー】 Mint I Roam Alone
【ネットアイドル】Mayy R~
参照元:タイの基礎データ(JNTO)
いかがでしたか?「アジア」と一言で言っても、国ごとに人種や言語、宗教観、生活習慣は大きく異なり、インバウンドで有効な施策や、訪日旅行者の需要は異なります。
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